タイトル 『組織培養による苗の生産』香川大学農学部教授 田中道男 先生
植物のふやし方には、つぎの5つの方法があります。
|
植物のふやし方 |
|
□たねをまく
□かぶわけをする
□さし木をする
□球根でふやす
□バイオでふやす |
最近、比較的安いねだんでお花屋さんで売られているらんは、バイオ技術によって生産されたものである。
|
バイオでふやす=マイクロプロパゲーション |
|
□クローン植物をたくさんつくること
□クローン植物は形や色がまったく同じコピー植物 |
らん科植物は、タネが小さくて貯蔵している栄養が少なく、タネだけでは発芽できません。自然状態では、リゾクトニア菌というカビの一種と共生して、この菌から養分をもらって発芽成長します。そのため、タネが人工的な無菌培地から養分を受けて発芽する無菌播種法という方法が開発されました。
|
無菌播種法(タネを人工的に発芽させる) |
|
□発芽するための栄養を供給するための培地
□培地とタネの殺菌 |
|
タネからふやす方法では、ふやした植物の性質を固定化することが難しい。らんの場合すぐれた品種が開発されても、球根や挿し木でふやすことができないために、この性質の固定化が問題となっていました。一方で、株分けによって増殖していたシンビジウムのほとんどがウィルスに汚染されていたという深刻な問題も起こっていました。1960年フランスの植物病理学者のモレルによりシンビジウムの茎頂組織の培養からウィルスを持たない株を得ることに成功しました。そしてこの成功により1963年アメリカの園芸学者ウィンバーは、シンビジウムの増殖法として茎頂組織培養法が利用できることを明らかにしました。
|
茎頂組織培養法 |
|
□茎頂組織から培養
□無菌播種法の技術の応用 |
|
ファレノプシス(胡蝶蘭)は、1つの茎からなり、シンビジウムのような複数の茎からなるものとちがい、茎頂組織培養方法で増殖することは困難であった。そのような状況の中、田中先生はファレノプシスのフシに注目し、その花梗腋芽といわれる部分からのクローン増殖システム(マイクロプロパゲーション)を開発された。私たちが現在安価に手に入れることのできるファレノプシスのほとんどが、この方法により生産されたものである。
|
胡蝶蘭のプロパゲーション |
|
1. フシの部分5cmくらいを切り取る |
|
|
3. PLBを形成する |
|
|
PLBとは親と同じ性質をもった細胞の集まりである。 |
|